日野春、本当の力が試されるとき。

2011年1月10日 § コメントする

「この路線で一番富士山に近い駅は甲府だよ。まだ富士山は見えないけど、品川であんだけでっかく問題出してそのままほったらかし、ってのはないんじゃないかなあ?」

と、古賀。彼の言う通り、未だに富士山に関するあの問題について答えはおろか、富士山そのものの話題すら出てこない。

「だいぶ後の方になって、『ここで品川での問題の結果が・・・』なんて言われたら困るよなあ」

「わからんよ」

と、古賀に相槌を打つ清水。FIRE号は甲府で停車。駅は上り、東京方面へ向かう人々で混雑している。そういえば今は世間で言うお盆の季節である。東京へ観光に行くのか?

それとも、もうUターンは始まっているのか?

下りの列車の中にはディズニーランドの土産袋を持った家族がいた。彼らはいい夏を過ごしたのだろうか?車内から駅を眺めながら、押金はそんなことを考えていた。もう、外も大分暗くなってきた。今日はこのまま終わるのだろうか?それよりも、いつ晩御飯が食べられるのだろうか?
夜の甲府盆地、パチンコ屋やゴルフ練習場を横目にしてなおも走り続けるFIRE号。すでに、富士山からは離れ始めている。と、ついに列車が動きを止めた。

『さあみんな、外をご覧あれ!』

福澤アナの声に従い、外に注目する一同。すると、青い光の棒が何十本と現れた。

 

「なんだ?」

 

一瞬、古賀はそれが何か判別できなかった。

 

『ここで本日のクライマックス、クイズを行います!さあみんな、降りて降りて!』

 

・・・早押し台。

 

46チームで早押しをやるのか。光の棒の正体を知り、一抹の不安を抱く古賀。ここで、本当の実力が試される。押し勝つことができるのだろうか?そして、下車する一行。ホームの中ほどで止められる。

「それではみなさん、ご覧あれ!」

線路を隔てた会場のオーロラビジョンに映し出された〔Welcome to the Quiz station〕の文字。「イエーイ!」一行のテンションは上がる一方。

 

「・・・すいません、今のもう一度お願いします」

撮りなおし。

 

「TVだねえ」

「TVやねえ」

 

そんな声が聞こえてくる。

 

「失礼いたしました。それでは、3、2、1、みなさん、あちらをご覧あれ!」

「イエーイ!」

 

再び映し出された文字に先ほど以上にきばって声を出す一行。

「・・・これってライトがバーン、と出たりしないんですか?・・・はい、そうですか。出ないみたいですね。それではみなさん、参りましょうか?」

歩く途中、駅名の書かれた看板に目をつけた古賀。日野春駅、山梨県長坂町か。

名所案内、日本百名山、国蝶オオムラサキ、滝も近くにあるのか。地元問題なんかも出されるのだろうか?と、ブラスバンドの演奏が始まった。駅の外の広場に押金が眼をやると、制服姿の女子中学生らしき吹奏楽団と、多数のギャラリーが見えた。軽快な音楽。初めて聞いた曲だ。

「演奏は、日野春中学校ブラスバンド部のみなさんでした!」

一同の拍手で演奏は終わった。

日野春町のみなさん、そして日野春町長にお越しいただきました!」

 

と、福澤アナ。「ここは長坂町です」と、[日野春]町長。

「これは失礼しました」日本テレビの看板アナウンサーがダメ出しされた瞬間だった。

 

高校生達はかなり喜んでいる。長坂町長の話は続いた。

 

「この町は風光明媚でとても素晴らしい所です。みなさんにも今度はゆっくりと観光して頂きたいものですねえ。美しい山から朝日が昇る景色も素晴らしいです。惜しくもここで脱落されるみなさんには、今晩はあちらの旅館でお泊まり頂きまして・・・」

「あーそこらへんは言わないで下さいねー」

 

町長の舌は絶好調のようだ。

 

「負けたらここで終わりか」

「勝ったらどこで泊まるんだ?」

 

一行の呟き。

 

「は、はい、ありがとうございました!」

 

福澤アナもタジタジである。

「・・・ところで町長、高校生のみなさんにプレゼントがあるとか?」

 

高校生一行に緊張が走った。ここまで(と、言っても一度くらいだが)、プレゼントと言えばロクなことがなかった。そのとき、頭上で大輪の花火が輝いた。

「花火や!」と、押金。

「きれいやねえ」と、清水。

「久々に嬉しいプレゼントやねえ」

と、古賀。高校生の間からは拍手が沸き起こる。

「町長さんありがとうございました。それではみなさん、あちらのセットへ参りましょう」

と、福澤アナに連れられて一行は移動する。ステージの方にもギャラリーは多数集まっていた。

「山梨頑張れえ!」と、おじさんの声。

山梨、山梨英和高校か。地元はいいなあ、と、少しうらやましい古賀。

 

だが、自分達の地元、三重に自分達を応援してくれる人がいる。それだけで十分だ。

「荷物はセットの前に集めて下さい」

 

と、言うので言われた通りに荷物を置いた押金。3段あるステージに載った46の早押し台。

そういえば、俺達が早押しボタンを押すのは初めてじゃないのか?中部大会、思えば準決勝では何もせず(いや、できず)、決勝は早[押し]ではなく早[放水]。どちらのクイズも、ボタンは1回も押していなかった。憧れの、あのボタンを押す日がついにやってきたのだ。全チームが台に着いた。

川越は退場ゲート向かって左側のステージ真ん中の列、クイ中達憧れの奈良代表東大寺学園の隣である。富田プロデューサーがステージ前に立つ。

 

「それじゃあボタンのテストをするから、チーム名を呼ばれたらボタンを押してね。それと、マイクには触らないようにね」

「初めての、この感触」

「本物はいいねえ」

クイ中3人はここでそのクイ中ぶりを発揮する。

「どういう順で重ねる?」

と、古賀。

「古賀ちゃんが一番押すから一番下。おっしーは一番上、僕が真ん中の順で。いい?」

「OK」

「了解」

 

ボタンテストの順番が回ってきた。「川越!」パンッ!クイ中達がこよなく愛する音が鳴る。

「本物は固いね」

「まあ、うちのプチ早押し機に比べればね」

 

確かに固いが、あのプチ早押し機での練習は決して無駄ではなかったはずだ。そう清水は考えていた。

「ルールはあとで説明するけど、トリプルチャンスまであるからね」

演出、遠藤氏の説明が入った。

「トリプルってことは、2択や3択の問題は出ないってことだな」

その、左側のチームの呟きを清水は聞き逃さなかった。奈良代表、クイズの名門、東大寺学園・・・。

トリプル、すなわち3択は出ない。普通に少し考えれば分かることかもしれない。だが、この状況でそんな冷静な判断が自分達に下せるだろうか?さすがだ・・・。

 
出発から約6時間、ついに本格的な難関が現れる。運ではない、本当の力が試されるときがやってきた。まだ1日目。町長には申し訳ないが、この町で宿を取るわけにはいかない。

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