浦佐、日は高く、今日という日も長く。

2011年1月10日 § コメントする

スタッフの動きが慌しくなった。予想通り、荷物をまとめろとの指示が下る。

 

もともと荷物をあまり開けていなかったので、降りる準備はすぐに整った。

 

『当分クイズはない』の[当分]が終わったのか。

当然のことではあるが、クイ中達は出来ればもう少し休んでいたかった。綱引きは彼らの体力をごっそりと奪っており、腕も足も少しずつ痛み始めていた。速度を落としてホームに滑り込んだFIRE号。その窓の外に見えたのは、[浦佐]と書かれた看板だった。

 

FIRE号が停まる在来線のホームだけを見れば普通の駅だが、その斜め上の方向にも大きなホームらしきものがあった。どうやら、この駅には上越新幹線もやってくるらしい。

やはり日野春のようなセットは組まれておらず、ここから移動をするようだ。となると、とクイ中達は考えた。この近くに何があるというのだろう?全く予想がつかなかった。

「・・・なんか寂しい駅やねえ。新幹線が停まる駅のはずなのに、ほとんど人がいないや」

新幹線が停まるだけあって、駅構内の広さはかなりのものだった。だが、そこには西日が差し込むだけで、誰かを迎える人影も、時刻表を見て切符を買い求める姿もなかった。

「まあ、冬には賑わうんだろうけどね」

とアルバイトスタッフの矢野さんが古賀に答えた。

「あ、確かにそうかもしれないっすね」

この辺は日本有数の豪雪地帯だったはず。シーズンになれば、スキー板やスノーボードを担いだ客が大勢やってくるのだろう。一行はエスカレーターで階下に降り、外に出た。これまた寂しい駅前である。右手に二台の乗合バスが見えた。スタッフらしき人々が、既に乗り込み始めている。そのとき押金の身を、何か嫌なものが包んだ。場の雰囲気を読んでみると、移動の手段にはあのバスという線が濃厚であった。・・・まずい。バスはダメだって言ってるのに・・・。それはクイ中2号の天敵とも言えるものだった。

「大丈夫かおっしー?」

「・・・ん、大丈夫」

 

浦佐駅を発ったバスは、北に向かって走り出した。1号と3号は、酔いやすいリーダーの2号を気づかう。彼の横には天満さんが座り、彼女は2号の気を紛らわせようといろいろと話し掛けてくれていた。

 

「この団扇はなんなの?」

「あ、それはですね、うちの学校のクイ研の人達がくれたんですよ。東京に行く前に」

「へえ、すごいねえ。1人づつメッセージが書いてある」

「このプリクラに写ってるのが理事長らです」

「可愛いねえ」

「その言葉伝えときます」

 

そんな会話を交わす2人と通路を隔ててバス左側の、1人がけ座席にそれぞれ座る清水と古賀。相変わらず西日の差す車内、古賀はこれから先のヒントが何かないかとボーッと外を眺めていた。

途中、川原で人が集まっているのを見つけて、次は川原で何を!?と考えたり、観光ヤナ場の看板を見つけると、魚のつかみ取りを予想したりと、かなりの疑心暗鬼に陥っていた。

しかし、彼が最も危惧していたのは夏場のスキー場でのバラマキクイズであった。もちろんやりたかったわけではない。ここまでの道すがらに、かなりの数のスキー場の看板を見つけていた上に、各チーム配布の時刻表に記されていた一文『走るクイズもあるので、それに適した格好で旅に臨むこと』中の[走るクイズ]らしきものがまだ行われていなかったのだ。

もし不幸にも予想が当たってしまった場合、綱引きで体力を大幅に削られ、今も疲れの抜けないクイ中達にとってはかなり不利である。

「スキー場には行かないで欲しいわ」

「そやねえ」

 

三叉路にさしかかったバスは、ヤナ場方向とは逆の道へ曲がった。とりあえず、可能性の1つは潰れた。
浦佐駅を降りて数十分。バスもまた、乗客達に行き先を告げずに道を走っていた。傾いてるとはいえ、日はまだ高く、暗くなるまでの時間はたっぷりとあった。ましてや、夜遅くまでの収録もいとわないのがこの番組である。

 

今日という日は、まだまだ続きそうであった。

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