準決勝、姿を現す幸運と、大人の世界。

2011年1月10日 § コメントする

手書きではなく、きちんと校名と自分の名前がプリントされたカードを渡され、ゼッケンにつける。

やはり準決勝は違う。
準決勝では各県4チームがAからDにわかれ、他4県との連合チームで戦う。

このチームは運命共同体で、決勝に進むのも、第一会場に送り返されるのも一緒である。そして、決勝に進めるのは2チームだけである。クイズは、まずAから Dの各チームの同一県の学校が早押しクイズをする。

そして、正解した学校の属するチームの全学校が順番(愛知、岐阜、静岡、長野、三重の順)に、女子高生のアンケートの上位5つを答える。

早押しボタンの前に立つ順番もアンケートの問題を答える順番と同じで、アンケートの問題に答えるときには同一チームでも他校と相談してはいけない。

早押しで間違えるとそのチームは次の一回休まねばならず、ま た、ダブルチャンスで1チームが間違えてももう一回に限り他のチームがボタンを押せば答えられる。

早押し正解で1点、アンケート問題は一位から順に5,4,3,2,1点となる。15点先取で勝ち抜け、決勝進出である。つまり、早押しで正解し、1位から4位までを当てれば、一発で決勝進出 なのである。

また、解答チームはアンケート問題のとき、ヒントガールという5人の女子高生のなかから二人を選んで、その二人のアンケート回答をヒントにできる。

 

「では第一問、ミエチョウ、アイチチョウ、ギフチョウ、このなかで本当にある蝶の名前は?」


パンッ!!

 

「Aチーム、一宮高校。」

 

「ギフチョウ!」

 

「正解!」

 

 

そして、Aチームは立て続けにベスト5の穴を埋めていき、いきなり11点を獲得。

「さあ、早くも決勝進出が決まってしまうんでしょうか?」

準決勝司会、中京テレビの本田 恵美アナの声にCチームのテンションは低くなる一方である。

清水の「2位を狙お。決勝に進めばいいんやで」との言葉にすがりAチームの解答を待つ。しかし、Aチームは11点止まり。

しかし、「あと4点で勝ち抜けです。」という本田アナの言葉通り11点の点差は動かし難いものに思われた。

「問題、人気ロックバンド、グレイの中で一人だけ血液型がちがうのは?」

・・・知るかい!

 

・・・我らが岐阜北よ、君達も知らんのか?

クイ中達の頭に諦めがよぎる。

 

・・・パン!三人の眼が音の出所を探す。

 

「・・くっ!!Aチームか!?」

「落ち着いて。2位を狙ってこ」

「Aチーム、恵那高校!」

「ジロー!」

「正解!!」

 

そして、アンケート問題の解答一番手、愛知県立一宮高校がランキング第3位を当て、Aチームは14点。

「大丈夫、ここで1位とられても、うちらが終わった訳ではないんやで。」

清水はCチーム全体に声を掛ける。1位をとられるのは気に入らないが、ここでみんなの戦意が落ちたらどうにもならない。ここでの2位は負けじゃない・・・。
突然、進行が止まった。

 

「一宮高校、今横の学校としゃべってたよね?ルール聞いてたでしょ、他校とは相談禁止だって。今のはノーカウント、もう一回第2問から。恵那高校はペナルティだから次は押さないでね」

 

・・・この場面はカットされるのだろうか?

 

関係者ではないので知る由もないが、一つ言えるのはこのプロデューサー(名を富田という方)に限らず、番組を収録する現場はとても厳しかったということだ。

現場で声を出しているのはほとんどスタッフなのである。クイズのルールもきちんと説明するのはスタッフで、司会によるルール説明はほとんど視聴者のために行われている様なものなのだ。

そしてスタッフの動きにはミスは許されない。彼ら彼女らは遊びで仕事をしているのではない。

これで御飯を食べている。これで養っている家族がいる。

大人の世界、プロの魂・・・。ふとそんな言葉を思い浮かべる押金達。

チーム押金はこんなところで放送という仕事の厳しさの片鱗を垣間見る・・・。

「問題、アルファベットを順に読んでいくと、左右対称となる文字の一番最初はA。では一番最後は?」

 

パン!

 

「岐阜北高校。」

「Y!!」

「正解!!」

 

アンケート問題のテーマは<今なくしたら困るもの>。女子高生の出したヒ ントは[携帯電話]、[友人]。

愛知県、桃陵高校

「携帯電話!」

ティロリロン!!

「正解です!さあ、携帯電話は一体第何位なのでしょうか?」

「たぶんケイタイは1位やろ」

 

本田アナの言葉に対して誰に聞かせるともなく答える清水。

Cチームの期待の眼差しが前方のスクリーンに集まる。そして、[携帯電話]という文字がその最上段に映し出された。

「携帯電話はなんと第1位!!Cチーム、5点獲得です!!」

Cチームに沸 き起こる歓声。

 

「残り、なんやと思う?」

 

先程の一宮高校の件もあって、あまり顔を横に向けぬまま古賀が尋ねた。

「友人は来そうやな。お金ってのもありそうや」

と、古賀と同様 に顔を前に向けたまま応じる清水。

 

「家族ってのもありそうっちゃう?」

「あー、それもありそうやなあ」

「では、2番手、岐阜県、岐阜北高校。」

「家族!」

 

・・・。

 

しばし沈黙が場を包む・・・。

(今の女子高生は家族をなくしても困らんのか?哀しい世の中になったなあ。)

 

押金が味方の失答よりも世の 行く末を嘆こうとしたときだった。

・・ティロリロン!!

「正解!本当の正解は[両親]ですがいいでしょう。さて、この 答えは一体何位なのでしょうか?」

 

[両親]の2文字が現れ たのは・・・、

 

「オオーッ!2位やっ!!」

 

古賀の驚きの声。

 

「ナイス、岐阜北!!」

と清水。

 

「さあ、1位、2位と立て続けに当ててきましたが、次はどうでしょうか?静岡県、磐田南高校。」

「友達!」

 

ティロリロン!

 

今度は間を置かずに 鳴らされる正解ブザー。

 

「正解!さあ、果たしてこれは何位に入るのでしょうか?」

 

その声を合図に[友達]が姿を見せたのは、上からも下からも3番目の列。

「3位!すごい です、Cチーム!!」

「あとは4位と5位か・・・。4位は財布、かなあ?」

「そやなあ、あとは手帳とか。どっちかやと思うけど・・・。」

 

そんな会話を交わす古賀と清水の横、長野県、屋代高校に解答のバトンがまわってくる。

 

「屋代高校どうぞ」

「財布!」

 

・・・。

 

再び場を支配する沈黙・・・。

 

(金はなくても困らんのか?俺は困るぞ!)

 

クイ中の誰もが時代の無欲さを(不謹慎にも)嘆こうとしたとき・・・。

 

ティロリロン!!

 

「正確には[お金]ですが正解です!さあ、一体何位なのでしょうか?」

 

 

空欄は2つ。上の4位か、下の5位か?Cチーム全員が固 唾を飲んで見守る。

 

ジャジャン!

 

効果音と共に文字が現れたのは、・・・・上段!!

 

「4位です!!」

 

次は三重、自分達の番だ。一瞬、クイ中達の頭をそんな考えがよぎる。

 

・・・が、

 

「俺達、何もせんかったね」

「せんかった、というよりも出来なかった、ってのが正直なところやけどね」

 

1+5+4+3+2=15・・・・15点、勝ち抜けである・・・。

 

 

「ヨッシャ ーッッ!!」

 

 

川越クイ研、チーム押金、何もせずに決勝進出。しかも一番大喜び・・・。

 

「決勝頑張るぞーっ!!」

「おおーっ!!」

 

静岡、磐田南高校の応援団チームのかけ声で各校は優勝への決意を一層強固なものとする。

Y/Nクイズから川越クイ研を追い続ける、福の神みたいな顔をしたスタッフのおじさんもここまでは予想していなかったようだ。驚くことしきりである。

一方、クイ中本人達は

 

「すいません、何もしてないのに決勝まで連れてってもらって・・・。」

 

と、謝ることしきりである。

そんななか、2位で準決勝を通過したのはDチーム。第一問で11点を得ていたAチーム、そして、もう一つの川越チームである矢田君チームが決勝に駒を進めることは叶わなかった。

川越クイ研、チーム押金の中部大会決勝の相手は同じ北勢地区、県立桑名高校と決まった。
目覚めた運に助けられ、決勝へと勝ち残った。意地を背負い、期待を背負い、涙を背負い、恩を背負ったチーム押金。負けるわけにはいかない。

 

報わなければならないものがたくさんある。それに、もう運で勝ってきたと言わせるわけにはいかない・・・。

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