背中に赤い追い風を受けて。

2011年1月10日 § コメントする

8月10日、晴れ。

部活、課外となかなか集まることができなかったクイ中3人は、諸岡理事長以下、クイ研首脳部による召集を受け、クイズの演習がてら集まることになった。

「なんでわざわざ富州原のマックなんぞに行くん?」

「いいからいいから」

3人の問いは幸枝さんやよしめぐに受け流されてしまう。

「ま、行けばわかるか」

と3人は詮索をやめて何を食べるかを考えることにした。

「はい、それじゃクイ中も集合!」

昼食も一段落ついたところでクイ中3人は理事長達が座るテーブルに集められる。今日ここに集まったのは、理事長、よっちゃん、幸枝さん、よしめぐさん、あずちゃん、そしてクイ中3人。

一体何が始まるのか?何かの重大発表か?重大ってそんなに重大なことってあったっけ?そんな思いがチーム押金の3人の胸をよぎる。

「ええと、とりあえず3日後には東京にいくということで、みんなで3人のためにこれを作りました」

と、理事長達が取り出したるは3本の赤い団扇。手にとって見ればそれぞれ一人一人に宛てたメッセージが書かれている。

「うわ、ありがとう!」

「そのプリクラもきちんとテレビで映るようにしたってな」

団扇の中央には理事長、よっちゃん、よしめぐが写ったプリクラが貼ってある。

「古賀ちゃん、団扇に書いてあることきちんと守ってな」

「団扇に書いてあること?」

 

古賀はよしめぐからのメッセージを探す。[かっちゃんとおっしーの邪魔しち ゃだめだよ。]とある。首をひねるが、次の瞬間理解した古賀、

「了解。なんなら風呂で寝ますよ。」

と返す。

「東京かあ。おっしーとかっちゃん旅館でラブラブ?」

と言う理事長の言葉を即座に否定する2人。(記録班注:2人はそういう関係ではない。一応、念のため)

「ところであずちゃん、[福澤さんすてきー]ってなんなん?」

「あ、ほんまや俺のには福澤さんかっこいいー」って書いてあるわ」

「いいじゃない いいじゃない。気にしないで」

笑って返される。

「3人はこれからどうすんの?」

と、理事長。

「早押しボタンがあるから学校で練習しようかって思っとるんやけど。」

「そっか、頑張って。帰って[女同士](記録班注:昼の連ドラ)見やないかん。」

こうしてマックでの壮行会はお開きとなった。

再び集合場所だった学校へと自転車で戻るクイ中一行。

「今回のテーマは[旅]だったよね、おっしー?」

「そうそう」

リーダー、押金のもとに届いた書類によると、今回の全国大会のキーワードは[旅]だとのこと。

「昼前にネットで調べたときの通りやったな、かっちゃん」

「そやなあ。でも[旅]って言っても何するかやなあ。旅の問題がでるのか、ほんとに旅でもするのか」

「貸し切り列車の旅、食事は自炊、なんて情報あったよねえ。噂を耳にしたって書き込みやったけど、どっから仕入れてきたんやろなあ?」

「もし本当やとしたら関係者辺りから漏れたんと違う?」

「誰があんなん書き込んだんやろなあ?そや、おっしー、」

「ん、なに?」

「愛知の一宮高校って憶えとるやんね?」

「ああ、憶えとるよ」

「そこの言葉が掲示板にあったやんね、かっちゃん」

「あったあった」

「どんなん?」

「ええと、[やった覚えのないルール違反の濡れ衣を着せられ、何もせずに決勝に進んだ学校もある中、そのせいで決勝を目前にして何もできないまま負けてしまった。]みたいな内容だったかな」

・・・何もしないで進んだ学校、やっぱりうちらのことだよな、と3人は同じ様なことを考えていた・・・。

「準決勝と言えば、うちら結局本物の早押しボタン押してないんだよね」

と、話題を変えた古賀。

「そうそう。やっぱ本物はいい音が鳴るんだよ」

と、清水は惜しそうに言う。

「音にこだわるとはますますクイ中やな。 でも確かに決勝も放水クイズやったでボタン押せなんだもんなあ」

と、クイ中2号も惜しがる。

「決勝、聞いたってちょっと、僕ねえ、あの対角線の問題の屈辱を晴らすべく対角線を求める公式を覚えて、さらに計算めんどいで十角形までの対角線の数暗記したんやで。」

「そ、そりゃすげえや。ほんとに数字とか理系の問題が出たら頼むで、かっちゃん」

と、雪辱を誓う理系清水、期待する文系古賀。本物を押して正解し、自分達の実力が運ではないことを証明してやる。そのために、今日のところはウルトラクイズのレプリカのボタン(記録班注:理事長が持ってきたTOMYあたりがかつて販売していたヤツ)で力を蓄えてやる。クイ中達はペダルを踏み、そう遠くない学校を目指す。

8月13日、台風の襲来が危惧される。名古屋は曇り。

しかし、暑い。クイ中2号、チームリーダー押金の目覚めは「なんか今日は珍しく良かったんやわ」との言葉通り。クイ中1号、清水にとっては「いつもと変わらん」ものだったらしい。

家族全員九州に帰省し、誰もいない家を1人後にしたクイ中3号、古賀は「家族より先には家には帰らんでな」とのこと。

「かっちゃん荷物軽そうやなあ」

と、重そうな古賀。

「そんなことないけどなあ」

「なんで2人ともリュックまで持っとるん?俺、荷物少なすぎたかなあ?」

 

2人の荷物を見て押金は不安を口にする。

「大丈夫やて、おっしー。俺は憂いをなくすために備えすぎて、いつも重い荷物背負っとるだけやで」

と、古賀。彼のモットーは、<備えあれば憂いなし>である。3人は昼食にカツを食べるというベタな願掛けをして新幹線のホームへと向かう。重い荷物を背負った青年3人の姿は、清水曰く「上京し、デビューを目指すバンド3人」のよう。新幹線がやってくる。

「きましたね。」

「うん」

「他の県も乗っとるんやろか?」

「やろね」

「よっしゃ、行こか」

川越クイ研の思いがこもった団扇を携え、3人は東京へと向かう。

あの幸運ののぼりの色と同じ、赤い追い風を背中に受けて、クイ中達は同じ背中に負ったたくさんの思いに恥じない戦いを誓う。

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