8月13日、曇りのち一時雨、クイ中達の上京

2011年1月10日 § コメントする

東京行き新幹線ひかりの車内、席を探す3人。

「もうすこし前の方っちゃう?」

やはり帰省シーズン、なかなかの乗車率だ。と、うまいこと3つ空いた席を発見。
そして同時にその前の座席を占領する高校生とおぼしき一団を発見。その一団すべての眼が3人に向けられる。

「どーもー、みなさん行くトコは一緒みたいですねー」

と恐縮する古賀。そしてチーム押金着席。自分たちが川越だけでなく、三重の名をも背負っていることを改めて思い知らされる。

「君達はどこ?」

「あ、三重っす」

「うちは滋賀」

そんな会話だって交わされる。全国大会。全国…。前方座席を覗き見る古賀。クイズの本は言うに及ばず、英語の教科書からどこかで見たような国語の総覧までもが開かれている。

「全国は雰囲気から違うね」

「飲まれたらあかんよ」

とりあえず、車内販売のコーヒーを買う古賀。1杯300円、この量でその値段はないだろうと思いながら本を開く。

今どこだ?

…豊橋か。

「1000万かー。いいよなあ永田さん」

「ほんまにとってしまうとはねえ、あの人も相当クイ中やでなあ」

 

現在話のネタとなっているのは、フジTVの番組、クイズミリオネアで1000万円を獲得した兵庫県の会社員、シニアクイ中の1人である永田喜彰氏である。

「にしてもすごいよね、自分が東京くるときに座った席だからって〈B〉を選んで、しかも正解」

と古賀。

「うちらもなんかあったら〈B〉選ぼっか?」

「そやな-、分からんかったら〈B〉か〈2〉やなー。ああ出たいなー、みのもんたから1000万奪いたいなー」

と清水。

1000万と言わず10万もあれば、本を買ってクイズの勉強ができるんだけどなあ、とまでは続けなかった。

3人誰もが同じことを思っている。

…浜名湖か。

磐田南や岐阜北は他の新幹線なんだろうか。

「台風大丈夫なんかねえ?」

予想進路をはずれ関東は直撃を免れるようだが、海の向こうの空は暗い。

「大丈夫やと思うけど、沖縄なんかは飛行機やでなあ」

と、本を閉じた清水。

すこし休憩しよう、と窓の外を見る。

雲の板に穴があいたようにすこしだけのぞく青い空。

「なんか少しだけ晴れとるね」

と古賀。

「お、あれはな、台風の目や」

と押金。

「また小さっ!あんなもんなんすか!?」

「そうそう、あんなもんなんや」

それにしても曇ってる。これじゃあ富士山もまともには見えない。そろそろ静岡を抜けるか…、到着は3時半頃やったな。

「新横浜っていうけど割と寂しい場所にあるなあ」。

新幹線は間もなく東京に到着する。

「東京つっても大したことないなー」

と押金。

「四日市って言われりゃそんな気もするよなあ」

と清水。

「いやあ、四日市って、いい街ですねー」

「そうですねえ」

古賀が立ち上がり棚の荷物を降ろす。

「いよいよ着きますねー」

「東京か。欲望の渦巻く街やな」

押金も荷物を受け取る。

「おっしー地図持っとるやんね?」

「おう、大丈夫やで」

「よし、それじゃはぐれんように」

こんなトコで迷ったら結構面倒くさい。

「スタッフについていけば大丈夫でしょ」。

こうして3人は東京での第一歩を印す。

「おー磐田南ぃ!久しぶりや-!」

東京都文京区本郷、ホテル機山館前。静岡代表磐田南高校との2週間ぶりの再会を果たす三重代表チーム押金。

「いつ着いたん?」

「僕らもついさっき」

「たぶんうちらより1本早い新幹線やったんやろ」

そしてホテルの中に入るように言われ、無謀にも一団の先頭を切って川越高校入館。

ロビーで押金は3人の名の入ったプレートを受け取る。

(さすが全国、名札もきちんとしたやつやな…)

そんなことからも自分たちが挑戦する大会の規模が実感できる。そして、高校生たちの眼が違う。遊び人はいるかもしれないが、遊びでこの場にいるやつはたぶんいない…。

「おっ、最低の三重が来たか?」

3人が声の方向を振り向くと…、いた。名前は知らんが顔は忘れない

三重をなめたらいけませんよ

「頑張りますよ」

とりあえず笑って言葉を返す。今に見てろ、俺たちゃあなたに吠え面かいて頂くためにここに来たんだ、という強気なことも恥ずかしながら考えていた。

宴会場に通される全国各地から集められた出場者達。3つずつ固まって並べられた椅子。やはり最前列。

しかし今度はちょっと遠慮がちに向かってやや右寄りに陣取る。磐田南はそのまた右に着席。押金は2人にプレートを渡す。

「お、全国は名札も立派やねえ」

「接着剤が固まるまでは着けるの少し待っててってさ」

「了解」

「何か書類もらってなかった?」

「それそれ。料金精算書に名古屋までの交通費書いて」

「はいはい」。

家から最寄りの駅までのバス代まで日テレ持ちである。

それにしても、と清水は思う。

有名校に無名校―うちもその1つか―、北は北海道、南は飛行機の遅れている沖縄まで。

福井?

北陸大会は昨日だったはずだ。

むちゃくちゃだねぇ。僕らの後ろに座っているのは?

 

奈良、東大寺学園。高校生クイズといえばここ…東大寺だって!?

 

「ちょ、ちょい古賀ちゃん!」

興奮しながらも声のトーンは低く低く

「どした?」

「東大寺、奈良の東大寺!」

「・・・!マジで!?あの東大寺学園!?」

「まじまじ、ちょっとおっしー!」

「どしたん…え?あ、ほんまや!」

 

あくまでも声のトーンは低く低く

 

「あー、お近付きになりたいなあ」

「どうやって?」

「名札があるから<どこから来たの?>とも聞けないしねぇ」

「奈良ー、こっちの方に来てくれるー?」

 

スタッフの呼び声に応えて行ってしまった東大寺学園。本日の宿舎によって、座る場所を分けているらしい。

説明によると、川越は別の宿舎らしい。

 

「よし、何とか頑張って今日中に10チームとお近付きになろや」

 

と野望を抱く清水。未だに全チーム集まらない。辺りを見回していて、ふとある女子チームに目を留める押金。

「かっちゃん、あそこの女の子3人、神奈川かな、天然ぽくない?」

「ん?あーそれっぽいね」

「どこどこ?」

「ほら古賀ちゃん、あっち」

「あー、工業?女の子のおる工業ってこっちじゃあんまり珍しくないんかね?」

 

そんなことをつぶやきながら辺りを眺める古賀。本当に、いろんなチームがいる。

 

 

8月13日、曇りのち一時雨、三重川越のクイ中上京。早速全国大会のオーラに触れる。

 

しかし、まだ何も始まっていない。

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