クイ中達のTOKYO。

2011年1月22日 § コメントする

「今って少し時間あります?」

 

「うん、1時間ぐらいあるよ」

 

「じゃあちょっと外歩いてきていいですか?」

 

「いいよー」

 

「それじゃ、荷物お願いします」

 

「はいはい」

ロビーに座っている土居さんと矢野さんに荷物を任せ、クイ中達は日テレに行くまでの待ち時間にホテル付近を歩いてみることにした。

 

 

「あのさー、太栄館にお土産買いに行きたいんやけどさ」

 

と、押金。聞くと、いい品があったのだが、荷物制限の煽りを食って買えず終いだったらしい。

 

「ええよー」

 

「行きましょかー」

 

特にどこを回りたかったという希望があったわけでもないので、コンビニで古賀がカメラを購入した後で、あの旅館を再び訪れることにした。

 

 

「ども。こないだの日曜に、ここにお世話になったんですけどね」

 

「あ、クイズの?」

 

「ハイ。今日が決勝なもんで」

 

「へえ、すごいねえ。応援してますよ」

 

「ありがとうございます。ところで、土産買うだけって出来ますか?」

 

「もちろん出来ますよ」

 

「それじゃ、これ下さい」

 

2号は目的の置物を購入。それ以上留まる理由はなかったので、玄関を出る。

 

「・・・石川啄木ねえ」

 

左手を見ると、なにやら石碑があり、そこにはこの旅館と石川啄木とに関わる何やらかが刻まれていた。

 

「へえ」

 

わかったようなわからなかったような文を読み終え、クイ中達は太栄館を後にして大通りへと戻る道を歩き始めた。

 

「・・・ホント、東京って感じがせんよね。普通の街っぽいよ。あの公園なんか特に」

 

「あ、あの公園よくない?ちょっと寄ってかん?」

 

「ええよ」

 

「・・・あ~、この前後に揺れる馬なんていいよね」

 

「ほんまや~」

 

「あ、おっしー、かっちゃん、その絵いいわ。写真とるでなにかポーズとって」

 

「んじゃ、決勝前に何か作戦を立てているような雰囲気で」

 

「ちょっと手もつけたりなんかして」

 

「あ、いいねいいね」

パシャッ!

「・・・オッケー!」

 

「いいの撮れたね」

 

「撮れましたねえ」

 

「今度はあっちのブランコ撮りましょ」

 

「いいですねえ」

 

「あ、古賀ちゃん、今度は僕が撮るわ」

 

「あ、サンキュー」

 

 

 

「初日にここに来るときに降りた駅があったやん?そこの側に本屋があったんやけどさ、そこ行ってみやん?」

 

「うん、ええよ」

 

「行こか」

 

国立東京大学の赤門を左手に見ながら、アロハ姿で学生の町を歩くクイ中達。

 

「こう言っちゃなんだけど、遊べる街ではないよね」

 

「そやねえ。でもしょうがないでしょ。すぐそこが東大なんだから」

 

「ですかね。そういや、うちら日曜日にここに来たときどっちから来たっけ?」

 

大きな交差点に差し掛かり、古賀はふと疑問を口にした。

 

「こっちっちゃう?」

 

と、押金が指差した。

 

「あ~、何かそんな気がしてきた。それじゃ、本屋はあの横断歩道を渡った向こうやね」

 

道の真ん中は、地下鉄か下水道の埋め込み-この種の工事はなかなか終わらないものである-でもやっているのか工事中で、TOKYOという街の常と言うべきなのだろうか、車通りは順調とは言えない。

 

「・・・あれ?矢野さん?」

 

と、清水が口にした。他の2人も彼の視線の先に注意を向けてみる。

 

「…あ、ホンマや」

 

「どうしたんやろ?」

 

そのとき信号が青になり、待たされていた通行人が歩き出した。

 

「ども」

 

「ちょっとあっちの本屋に行ってきますわ」

 

「はいはい」

 

 

 

「あ!パーネル・ホールや!」

 

「それっておっしーがずっと探しとった本?」

 

「そうそう。特にこの『犯人にされたくない』はどこ探してもなかったんやって。さすが東京やわ。品揃えが違う」

 

「へえ。あ、こっちはアガサ・クリスティーっちゃう?」

 

「そうなんさ。どれ買おうかなあと思ってさ~」

 

目的地の本屋に到着し、予想以上の品揃えのよさに感動したクイ中達。特に、押金は長い間探し続けていた本が簡単に見つかり、次の悩みはその中からどれを買うのかという点に移っていた。結局、彼はホールの『犯人にされたくない』とクリスティーの『オリエント急行の殺人』を選んでレジに向かった。古賀もトム・クランシーの本を探してみたが、ほとんど読んだことのあるもので、買う気は起こらない。

 

「かっちゃん、何見とるん?」

 

「いや、雑学の本あるかな~と思って。結構いろいろあるで」

 

「ホンマや。東京は違うねえ。うちの近くの本屋は大したことないもん」

 

2号も会計を済ませ、クイ中達は雑学本を棚から取り出しては戻し、取り出しては戻して、少しでも自分達の知識になるような情報を探した。

 

「あ、これいいね」

 

清水が手に取ったのは漢字の本だった。

 

「あ、ええな。自称漢字担当としては惹かれるね」

 

と、古賀。

 

「じゃあ、古賀ちゃんこれ買う?」

 

「おう」

 

3号は『なるほど、ナットク超[漢字王]』を受け取った。幸い-と言うべきか言わないべきか-この旅ではまとまった額の金を使う必要がなかったので、財布にはかなり余裕があった。

 

「じゃ、俺はこれ」

 

と、押金は『辞書にはない《言葉と漢字》3000』を選んだ。

 

「僕はどれにしようかな~?・・・これかな?」

 

清水の眼に留まったのは、『雑学の宝庫・日本の常識2000問』なる本。

 

「お!?これはいいんとちゃう?」

 

「どれどれ?・・・あ、なかなかちゃう?」

 

「やね。これにしよ」

 

 

 

足も時間もなく、堪能できたとは言えないが、それでもクイ中達のTOKYO観光は、なかなかどうして楽しいものだった。恐らく、これが東京で過ごせる最後の自由時間だろう。

そうわかっていたから、尚更だったのかもしれない。

 

 

 

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