日本テレビ、旅の果ての決戦の地へ。

2011年1月22日 § コメントする

「土居さん、何やってたんですか?」

 

「眉毛書いてた」

 

「この太い眉毛が繋がってたの」

 

「え?それでもう消しちゃったんですか?なんや、見たかったのに。…あ、そう言えば、市村さんら土居さんの昔の写真見てないよね?」

 

「見てないけど」

 

「おっしー!あの土居さんが写ってる大会の本っておっしーのカバンやんね?」

指定の時間に遅れることなく全員が集合したホテル機山館のロビー。古賀は、ソファーに座って先程の本を読んでいた押金に土居さんの写真入り本の所在を聞き、神奈川工業チームに見せた。

 

「何これー!」

 

「若ーい!!」

予想に違わず、大ウケであった。昨晩と同じく富田氏待ちの一行。その時間を有効に使うべく、クイ中達は高校生クイズ指南書を開いた。ふと古賀が横を見ると、神奈川も東大寺も同じ本を開いている。

 

「やっぱりみんな使ってたんやねえ」

 

確かに、この本にはかなりの良問が揃っている。3チーム全てが持っていたと知っても、さしたる驚きはなかった。ナンヤカンヤとやっていると、Mr.T登場。昨晩一行が夕食を食べたレストランで昼食をとることになった。

 

 

「よーし、何でも好きなもの頼めよー」

 

と、妙に太っ腹な富田氏。メニューを見てみる。悲しいかな、ホテルにくっついたレストランゆえに、ファミレスほどの品揃えはない。

何と言うか、ピンからキリまで、と言うより、ピンかキリしかないような感じである。

学生身分としてはカレーライスあたりが無難だろう。が、昨日の昼も、そして今日の朝までもカレーだった。クイ中達は悩んだ。しかし、それほど長くはなかった。せっかくあのMr.Tが『何でも頼め』と言ったのだ。気が変わらないうちにその言葉に甘えてしまおうではないか。

 

「じゃ、ビフテキですかね」

 

「俺も」

 

「僕もそうするわ」

 

…ビーフステーキ。この旅で一番豪華な昼食である。

 

「そっちは何にするん?」

 

押金は、隣のテーブルに座る東大寺メンバーに尋ねた。

 

「ビフテキ」

 

「僕もビフテキ」

 

「僕はうな重」

 

「あ、うな重にしたんか」

 

「決まったかー?」

 

「あ、ハイ」

 

「じゃあ、頼んで」

 

「はい。…すいませーん!」

やってきたウェイターに注文を告げる。ふと清水は富田さんらが何を頼むのかが気になり、スタッフ3人が座るテーブルに注意を向けてみた。

 

「じゃ、カレー」

 

富田氏はカレーを注文。清水は、その直後の土居さんの微かだが鮮明に現れたリアクションを見逃さなかった。

 

「…えっと、じゃ、僕もカレーで」

 

うな重あたりでも注文したかったのだろうか?

だが、上司-一応そういうことになるのだろう-よりも高い物はさすがにオーダーできなかったのだろう。

彼の心境を思いやると、清水は笑えてきた。

 

 

「それじゃ行こうか」

 

昼食を終えた一行は、それぞれの荷物を持って機山館を出た。相変わらず、東京は車通りの多い街である。

その往来に向けて、富田氏が手を挙げた。日テレまでのタクシーを拾うらしい。

てっきり地下鉄-降りるのは当然あのズームインのバックの駅-か昨日のようなロケバスで行くのかと思っていた古賀にとっては少し意外だった。まあ、わざわざ車を用意されるほど偉い身分ではないことは自分でわかっていたのだが。

最初に止まった一台にはクイ中達と矢野さんが乗り込むことになった。

トランクに大荷物を入れ、後部座席に座った3人。後ろを振り向くと、自分達に続くタクシーが止まっているのが見える。

 

「麹町の日テレまで」

 

矢野さんがそう言うと、車は走り出した。車窓に広がるのは、大都市東京を象徴する高い建物と行き交う車ばかり。ふと、清水は気になることがあったので矢野さんに尋ねた。

 

「矢野さん、以前やったクイズに『トン女といえば東京女子大、ではポン女といったら?-日本女子大』みたいなのがあったんですが、本当にそうやって呼ぶんですか?」

 

「あーそうやねえ、呼ぶねえ」

 

「へエー、つまらない質問しちゃってごめんなさい」

 

「いやいいよ」

 

知識と実際の事実がつながったときというのは、なんともいえない満足感があるものである。そんなとりとめもない会話をしつつ、決戦の場へとタクシーは近づいていった。

 

 

「あ、あのガラスの向こうってマイスタ(記録班注:正式名称はMyスタジオ。ズームイン朝及びズームインサタデーが放送されている、ガラス張りのあのスタジオである。たまに、ピースをする通行人や道向こうのビルの掃除のおじさんが映ったりする懐の広いスタジオでもある)っちゃう?あの地下鉄の駅もある!うわっ、ホンマに日テレや!」

 

クイ中、特に3号は大ハシャギ。川越の乗った先頭タクシーに続き、後の車も日テレ前に止まった。

 

「・・・あれ?」

 

どこかで見覚えのある顔がいくつか、そこの玄関前にあった。

 

「・・・船橋の人?」

 

「群馬高専?」

 

数えれば4、5人。近隣の県の出場者達が、決勝間近に応援に来ていたのだ。やはり関東地区なのか、彼らは神奈川工業の3人と馴染みが深いらしい。

タクシーから全員が降り、荷物も降ろしていると、矢野さんが見覚えのないダンボールを持っている。

 

「それ何ですか?」

 

清水が尋ねると、

 

「高校生が旅館に置いていった忘れ物だよ」

 

とのこと。見ると、各学校ごとに袋に入れてあり、学校名もきちんと書かれている。

 

「これどうするんですか?」

 

「どうしようねえ、とりに来てもらおかなあ」

袋をあさりながら矢野さんは言った。ふと『沖縄尚学』と書かれたやつが二人同時に目に留まった。

 

「ちょっとそれは無理だね」

 

笑いながらそう言うと、矢野さんは日テレへ入っていった。そうこうしているうちに、加治木高校の3人とは本当の別れがやってきた。

彼らは先程の『あの地下鉄の駅』、正確には営団地下鉄の麹町駅から東京駅に向かい、そこから鹿児島へ帰るらしい。

 

「それじゃ、頑張って!」

 

そう言い残すと、薩摩っ子3人は駅の階段を下っていった。

 

何かしらの手続きがあるのか、3チームは少し外で待たされる。その時間を活用して、古賀は様々な番組で登場する日テレ玄関や、駐車場のなんだろう君マーク、そして『あの駅』をキチンと撮影。

毎朝福澤さんが挨拶をしている場所に今立っているのだと考えると、不思議な感じもした。玄関前の大きな柱に貼られている大きなポスターを見ると、毎年恒例となっている24時間TVの宣伝がされている。

・・・8月19日から20日か。もう今度の週末だな。

24時間TVには夏休みの終わりを告げるイメージがあり、古賀としてはサライを聴くと感動ではない涙がこぼれそうになる。

と、彼が埒もないことを考えていると、3チームが呼ばれた。

 

日は既に天頂に達し、ゆっくりと、しかし確実に最後の戦いの時は近付いてきている。

9人は長かった旅の本当の終着点にたどり着き、そして足を踏み入れた。日本テレビ、旅の果ての決戦の地へ。

 

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