東京都文京区本郷、突然の再会。

2011年1月22日 § コメントする

失礼千万な挨拶を終え、ホームにたたずむ一行。スタッフは荷物の搬出で慌しい。と、不意にクイ中達の横側にいた神奈川工業チームがカメラに向かってしゃべり始めた。決勝前の意気込みを撮影しているらしい。次に、レンズとガンマイクはクイ中達に向けられた。

「…何言おう?」

「何にします?」

「何にしよか?」

 

普段は映ろう映ろうと、カメラ近くのポジションを密かに狙っていた-そして大概は夢破れていた-彼らだったが、やはり突然フラれると困る。

「気合でも、意気込みでも」

とスタッフ氏は言う。

「川越ぇ、ファイ!オー!でいきますか?」

「そこらへんかな」

「そうしよか」

「決まった?それじゃ、3・2・1・・・」

「・・・川越ぇ、ファイ!」

「オーッ!」

「・・・ハイ、オッケー」

「ありがとございましたー」

 

再び手持ち無沙汰になり、することと言えばやはりホームにたたずんで撤収の風景を眺めるくらいである。先程のカメラは、東大寺学園を撮影中だった。

「かかって来い!!」

あまりに唐突だったので、彼らの大声は古賀を驚かせた。今まで割とおとなしめな彼らだったので、尚更である。『かかって来い!』。かなり攻撃的なセリフだが、古賀には、彼らがそう言えるだけの実力を持っていると思えてならなかった。

これからどうなることやら、と相変わらず-と言ってもそれほど長い時間ではなかったが-突っ立っていた9人が、ついに呼ばれた。アルバイトスタッフの方にに先導されて改札口へ向かう。その人の名前は、古賀の記憶では土居さんだったような気がした。

「もう、ここに当分来ることはないね」

「来れないでしょ。特に9月以降は。猪又さんが転勤するか退職するかしない限りここ使えやんよ」

「放送されるんかな~」

 

そんな感慨を抱きながら、2日前と同様に改札口を顔パス、いや、フリーパスで通過。あの日50チームが長いこと電車待ちをくらっていた大通路を左手に、エスカレーターへ。

そこを降りると、道路を隔てて、同じ日にメモ帳を買った本屋のあるショッピングビルが見えた。日も沈み、辺りは暗くなり始めている。ここからまた電車に乗るのかと思っていたが、どうやら違うらしい。

土居さんに付き従って横断歩道を渡った。歩きでホテルまで向かうのかと考え始めたところで、横目にマイクロバスを発見。

「じゃ、これに乗って」

「お、ロケバスや」

「すげー」

特に変わったところもないのだが、ロケバスということに妙な感動を覚えながら9人は乗り込んだ。

「おっしー、バスは大丈夫なん?」

「たぶん」

「バカじゃないの!?」

「『バカ』?・・・ゴメン、俺日本語検定まだ準2級だからあんまり難しい言葉わからないんだよねー」

「あ、だからバカの一つ憶えみたいに同じような言葉しか話さないんだ」

「・・・エ?ヒトツ・・・『ヒトツオボエ』?」

ロケバス車内では、市村さんと土居さんの爆笑トークの応酬が繰り広げられていた。

「日本語検定ってことは、基本的にはどこの言葉使うんすか?」

古賀、火に油を注ぎにかかる。

「基本的にはスワヒリ語かな・・・ジャンボ!!」

車内、大爆笑。

「そういえば、あんな数のカバン、一体誰が持ってきたんですか?」

この際だから聞いておこうと、3号は質問してみた。

 

「スタッフ全員、『何か集めて来い』みたいな感じ」

「あのジュラルミンはすぐに決まったでしょ?」

「ああ、あれは早かったね。『これしかない!』ってね」

 

ライトアップされたドームを横目にして夜のTOKYOを走るロケバス。ふと古賀が外を見ると、いつの間にやら千代田区の官庁街に来ていた。国会もすぐ近くである。

「おっしー、ここ霞が関やって」

「お?マジで?」

「そういやおっしー、東京来る前に『俺は絶対最高裁判所を見てくる』って言ってたねぇ」

「そやそや。こっから近いの?」

「どうやろ?遠くはないと思うけどなあ」

「寄りましょうか?最高裁に」

2人はバスの、割と後部にいたのだが、その話し声が聞こえたのか、ドライバー氏が声をかけた。

「え?あ、いいですよ。もう遅いですから」

2号と3号はその申し出を辞退。3号は再び窓の外に眼を転じた。始めは品川近くのホテルにでも宿泊するのかと考えていたのだが、その予想は外れたらしい。

道路標示やそこかしこの看板を見てみると、どこかで見たようなものになっていた。

…『文京区』、『赤門前』明らかに、文京区、それも東京大学の近くに来ていた。

・・・なるほど、機山館か。よく考えれば、荷物が保管されているのは確かにあそこだったのである。

「それじゃ、そろそろ着くから、忘れ物ないようにね」

ロケバスから降りたクイ中達。そこは、3日前地下鉄の駅から機山館へと歩いた道だった。

「加治木はもう帰ったのかな?」

「さあ、どうでしょう?鹿児島は遠いでねえ」

「まさか、日テレだから『東大一直線』に捕まったとか?」

「それ、リアルに嫌やね」

「電波少年かぁ。そういやさ、富田さんもTプロデューサーやんね?」

「あー、そうだねえ」

 

9人は、そんな会話を交わしながら機山館へ。『歓迎』の札を見てみると、どこかの学生だか社会人だかの体育会サークルの名があった。確かに、そういう団体には都合が良さそうなホテルである。

土居さんがフロントに行き、チェックインを済ませた。3日前に『最低の三重』と言った遠藤さんが座っていたソファーには、学生らしき3人が新聞を読んでいる。

見るからに体育会系で、古賀はすぐに入り口の札が歓迎していた人達だと判断した。しかし、どこかで見たような…。そんな古賀よりも早く、清水が気付いた。

「加治木やん!」

「あ!ほんまや!」

 

うれしい驚きと共に、清水は彼らに声をかけた。

「あとで写真撮ろうな」

「はい、撮りましょう」

加治木のメンバーがなぜ敬語なのか測りかねたが、さらに友達の輪を広げることができ、清水は満足感に浸った。

東京都文京区本郷、ホテル機山館。まさに突然の再会である。

あれだけ涙の別れをして、簡単に再会できるとは誰が予想していただろうか?

そうは考えながらも、戦友との再会が嬉しくないはずがなかった。

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